フリーランスを客観的に考える

プログラミングスクールの宣伝広告を見ると、「フリーランスエンジニアになって自由に年収1,000万円!」「独立して収入が2倍以上になりました!」など魅力的な言葉がたくさん書かれています。

フリーランスの魅力を強調するプログラミングスクールの広告

もちろん良いところも悪いところもありますが、スクール側が過剰に盛ってアピールしている節があります。
そこで今回はもっとリアルな目線で、フリーランスのメリット・デメリットをお伝えし、本当にあなたにフリーランスが向いているかを考えるきっかけになれば幸いです。

フリーランスとして働く3つのメリット

メリットについては、今さら書くまでもないかもしれませんね。
今回は「スキルがあれば働いた分だけ収入」「場所・時間に拘束されない」「案件の掛け持ち・幅広い経験を積める」の3つにポイントを絞って、フリーランスとして働く良い点をまとめていきます。

スキルがあれば働いた分だけ収入

収入計算をするフリーランス

一般職だと、月給1〜2万円の昇給するのにも1年以上かかるのが当たり前かもしれません。
場合によっては何年も勤めていたのに昇給しない、という職場も多くあるかと思います。

一方でフリーランスのエンジニアなら、スキルさえあれば働けば働いた分だけ収入を得られます
特に年功序列などで、どれだけ努力しても給与として働きが認められない職場にお勤めの方からすると、これはかなり魅力的な点でしょう。

また、正社員エンジニアよりも、フリーランスエンジニアの方が高い単価を得られるのも事実です。
すでに正社員で500万円以上の給与が得られているエンジニアであれば、独立して年収1,000万円近くなるのは実際に十分あり得る話です。
正社員の場合は、すぐには解雇できない問題や厚生年金などその他コストがかかる都合、会社からすると高いスキルがある従業員でも、高給与を設定するのがリスクになってしまいます。

しかしフリーランスであれば、事業縮小などの理由でエンジニアが不要になったら、比較的すぐ契約解除にできますので、その分仕事がある限りは高い単価をいただけます。

場所・時間に拘束されない

カフェで仕事を始める様子

海外に移住して自由に

自然のあふれる地元で子育てをしながら

満員電車に乗ることなく

人間関係のストレスから解放されて

ノマドワーキングなんて言葉も流行りましたが、パソコン1台で時間と場所にとらわれない働き方はフリーランスとして働く上でとても魅力的なポイントです。
数年前までは、フリーランスとはいっても週5勤務でオフィスに常駐が必要という案件も多くありました。

しかし現在は、週3程度の参加案件や自宅で作業するリモート案件も増えましたので、実際にだいぶ自由度は上がったと言えます。
一方、会社員でもフレックスタイム制や、週4出勤制度、週何日かはリモート出社OKの会社も増え始めていますので、必ずしもフリーランスだけのメリットではなくなりつつあります。

とはいえ古い体質の残る会社だと、制度はあってもいざ使おうとすると社内で冷たい目で見られるケースも多いですので、会社員の立場でこういった文化が根付くのにはまだしばらく時間がかかるのかと思われます。

案件の掛け持ち・幅広い経験を積める

新たな顧客と契約を交わすフリーランス

週3程度やリモートの案件が増えた点とも連動して、案件の掛け持ちが当たり前になったのも、フリーランスとして働くメリットの一つです。
正社員として働いていると、どうしても使うプログラミング言語など使うスキルが1つのものに固定されがちです。1つのことを極めるのも大切ですが、ある程度ベースのスキルが固まってからは対応できる幅の広さの方も重要になってきます。

そのため、複数の案件にかかわりマルチなスキルを形成できるのも、自身の市場価値を高める上で大きな魅力です。

あまり知られていないフリーランスのデメリット

メリットと比べてあまりイメージしづらいのがデメリットです。
隣の芝は青いとよく言いますが、当然いざフリーランスになると見えてくる悪い点もあります。

デメリットを一切伝えず、「フリーランスになって自由に働こう!」と良いイメージだけを伝える広告も増えましたが、個人的には首を捻ってしまいます。メリットもデメリットも正しく把握した上で、働き方を考えていきましょう

ここではわかりやすい「会社からの保護がなくなる」「社会的な信用の低下」「孤独感に耐えられるか」の3つ項目に分けて、デメリットをお伝えします。

会社からの保護がなくなる

会社員ゆえの特権である社会保険

フリーランスのデメリットを知ることは、すなわち会社が裏でやってくれている補助を知ることでもあります。
実は「会社」はあなたが思っているよりも、あなたのことを守ってくれています。

オフィスの賃料や、PC・デスクなどの機材費

交通費や家賃補助

厚生年金の会社負担分

年末調整など税務処理

フリーランスになると、以上のような会社からの補助が無くなります。

例として、年金を取り上げると実は会社員とフリーランスでは年金の種類が異なります。
会社で加入する年金は「厚生年金」、個人で加入する年金は「国民年金」です。

細々とした違いはありますが、厚生年金保険の大きなメリットは年金の支払いを会社が半分負担してくれることです。一方、フリーランスとして独立し国民年金になると、当然全額自己負担となります。
厚生年金は収入に応じて支払う保険料が変動しますので、一律に比較はできませんが、結果として平均の年金受給額は以下の違いが生じます。

厚生年金:約148,000円/月

国民年金:約55,000円/月

『平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概要』厚生労働省年金局
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000068702.html

私たちが老後に得られる年金額はさらに減少するでしょうから、フリーランスの場合はとても年金だけで安心して老後を過ごすことはできません
フリーランスのための自分で積み立てる退職金制度とも言える、「小規模企業共済制度」の活用なども必要となってきます。

こういった話をまとめて、「フリーランスの収入は、会社員時代の1/3に考えるべき」とも言われます。
年末調整や確定申告の時期になると、毎度プレッシャーを感じる部分ですね。諸々の事務作業の面倒くささが、さらに嫌ですが(笑)

社会的な信用の低下

フリーランスに対して厳しい信用判断をする男性

いまでこそフリーランスは認知されつつある働き方ですが、まだまだ社会的に認められていない部分もあります。
会社からの保護と連動する話ではありますが、フリーランスは明日から仕事が無くなる可能性があるのは確かです。

今の時代、会社員ならずっと収入が安定して得られるという考えも、昭和的な古い価値観になりつつあります。とはいえ、今の社会はまだその価値観を元に回っています。
その結果、会社員ならば容易に通る住宅ローンや賃貸、クレジットカードの審査も、フリーランスだとNGになるケースも。

審査のために、何年分もの収入証明書を提出して直接交渉してなんとか通してもらうこともしばしばです。
この辺りの話は、こちらの記事もご覧ください。

孤独感に耐えられるか

社会から見放されたような孤独を感じる男性

お金や社会的な話を先にしてきましたが、極々個人的な話もしておきましょう。
フリーランスとして働く上で、孤独を受け容れられるかは重要なポイントです。

取引先との関わりはあってもやはり外部の人間ですので、輪になって一緒に働いている感覚はありませんし、リモートで勤務していると余計に一人で働いている感覚は強くなります。
プロジェクトも、すでに企画や進行の流れ決まっているものに沿って、黙々と作業をすることが主になりますので、自分が舵を握っている感覚にはなりません。

個人主義であり、自己管理も出来て、黙々と作業することが楽しい、そんな気質が求められます。
「会社勤めだとストレスがあるから、一人の方が気楽で~」とフリーランスになった人でも、いざ独立すると孤独に耐えられず、飲み歩いたり夜のお店にハマったりするケースも多々見てきました。

もしあなたにフリーランスの働き方が合わなければ、また会社勤めに戻れば良いだけではありますが、本当に自分が一人でもやっていけるかしっかりと考えてみてください。